『日本以外全部沈没』

 を見てきました。いやぁ、大好き。どれくらいかというと、ほぼ一年半ぶりに映画館で映画を見たのにケツも腰も痛くならなかったくらい。久々に見知らぬ人々同志が心を一つにする瞬間を味わいました。以下に粗筋を。

 主人公はおっぱいばいんばいんのテキサス娘と結婚したイケ面童顔で背の低い日本人のマスコミに勤めるサラリーマンおそらく20代後半。同僚といつものバーでクダをまく。曰く、「俺達のたまり場だったのに、最近外人大過ぎ」「総理もいるしな」
 各国連常任理事国元首(除フランス)と事務総長、韓国首相、ハリウッドスター達がバーをうろつく。中国と韓国は日本国総理大臣安泉の腰巾着になっている。筒井康隆が葉巻きをふかしながらあらわれ、アーノルドシュワルツェネガーともう一人のハリウッドスターに「おい君たち、100円やるから何か芸をやりたまえ」。狂喜するハリウッドスターは芸をするが、お座敷芸にもならないレベルなので筒井康隆はそれぞれに10円と5円を賜り、悠々と態度でかいまま去る。
 最初に沈没したのはアメリカ。テキサス妻大パニック。定員70人の飛行機に4000人のアメリカ人が乗り込んで墜落したりする。ピンチは人をお馬鹿にしますね。大統領はエアフォースワンで日本に向かい、その中で政見放送を行う。「俺はアメリカだしアメリカは俺だし、アメリカのために俺は国外に行くのよ。みんなごめん。大変遺憾。」みたいなことを喋くっている最中に、バニーガールが大統領に水割りをサーブ。大統領は尻をひと撫でし、「ごめんね僕のうさちゃん、これが終わったらム・フ・フ」「アーハーンダーリンアイムウエイチングユー」みたいなアイコンタクト。こんな感じで亡命してくる。
 
 この映画、何が凄いって要点の抽出を行うセンスが高いです。モブや特撮やCGは思いきりチープに徹しているかわりに、実在の誰かが本人らしく見えるためのポイントや、生活とか感情とか動作のフォルムをしっかりとってセンス良く誇張しています。つまり現実の物真似のクオリティーが高いので、そこに乗せられた非現実な設定やエピソードが安定して生きてくるんです。
 例えば先述のテキサス妻がGAT(Gaijin Attac Team)に身分証を見せるシーンがあるんです。すっげーきたねーカタカナで書かれた名前は『キャサリン・コーマン』。単純に面白さを出したかったら、毛筆で達筆に名前を書いてもいいんですよね。たどたどしい日本語を使う外国人妻が字だけ達筆、みたいな。でもきったねー字なんです。これはリアルですよね。でもここをリアルにすることで、非現実的な名前のマンコが生きてくるわけです。
 まぁ理窟はいろいろありますが、良くできたいい映画でした。それでめちゃくちゃ面白い。なんせキムジョンイルがかっこいいですから。今私は劇中でルーカス監督が着用していた『タバコを吸う女は人類の敵だ!』と大書されたTシャツを着用しています。