ヴィジュアル系が好きだ

 そうなんです。ヴィジュアル系が好きなんです。といってもバンギャ(もうオバンギャか?)ではないし、服がゴスロリなわけでもないし、球体関節人形とかも興味はないし、フランス語もドイツ語もできないし、バロック文化もスルーだし、コスプレイヤーでもないです。ただ、所蔵しているCDの九割八分は1996年から2000年前後に発売されたヴィジュアル系バンドのもので、未だに普通に鑑賞しています。最近ようやくRaphaelのLILACを買いました。ちなみに今はGuniu ToolsのOTHER GOOSEを聴いています。次はメリーゴーラウンドにしようかLAREINEにしようか迷ったあげく、結局LAREINEのLILLIE CHARLOTTEにしました。はい、かけかえました。LILLIE CHARLOTTEは短いので、次はTHE END OF THE CENTURY ROCKERS2の予定です。THE END OF THE CENTURY ROCKERS2の中では呪麗の聖域-サンクチュアリが好きです。
 ちょっと前までは友人が来宅した際にもヴィジュアル系のCDをかけていたのですが、最近は止めました。酷いから止めてくれという数多の友人達の懇願が理由ではなく、好きすぎて会話のBGMにできないからです。

 どうしてこんなに好きなんでしょうか。
 まずは年代が考えられます。丁度私の10代前半は、ヴィジュアル系四天王(MALICE MIZER,La'crima Christi,SHAZNA,FANATIC CRISIS)がぶいぶいいわせていました。思うに、10代前半というのは何かの作品を受容するための下地が形成され始め、ある程度趣味に合致して接触した最初のものに刷り込みを受けるのではないでしょうか。私が初めて聴いたヴィジュアル系の音源はMALICE MIZERのmemoireでしたが、『私の求めていた音楽はこれだ、これを聴くために今まで生きてきたんだ』と思って歌詞を手書きで書き写し、制服の内ポケットに入れて持ち歩いていました。音楽の他には純文学、山本直樹、ガロ、丸尾末広、セックスに出会い、これらも未だに大好きです。
 ここで考えておきたいのは、当時から好きだったもののほとんどがサブカルチャーに属するものだったということです。何かを好きになるには、そこにあるものを直球で愛することが必要ですが、長くサブカルチャーを愛し続けるにはもう一つの能力が必要となります。それは、一周したところから愛する能力です。これは俯瞰した視点ではありますが、距離を取っているのではなく、作品やジャンル周辺の状況(信者の電波な行動や、アーティスト本人のおいた等)をひっくるめて愛することです。この回りくどい愛し方をする性癖も、私が未だにヴィジュアル系を愛し続けている理由の一つでしょう。
 例えば某耽美系バンドの某耽美系メンバーが某新興宗教幹部でなおかつスカルファック可能なくらいのアナルマニアだったとします。それでもいいんです。バックグラウンドがすっぱ抜かれてバンドが干されたとします。それでもいいんです。彼が素敵な作品を創ってくれたから、そのバンドが好きだとか彼が好きだとか楽曲が好きだという気持ちはなくなりません。例えば好きな曲が有名曲パクリまくりのパッチワーク曲だったとします。それでもいいんです。だって私はその曲が気に入ってるし、そんな曲が世に出たということ自体も面白いから。つもりこのルートを持っていると、作品の受け手としての許容量が格段に増えるわけです。まぁ最初からこうやって回りくどくやっていたわけではなくて、さすがに若いころはド直球でしたよ。
 

 以上が目下の所分析した『どうして私はヴィジュアル系が好きなのか』になります。色々言葉足らずですが、なぜ一周したところから愛するようになったのか、ということに関しては考え出すとお育ちなんかが関わってくるのでここでは発表しません。
 ところで最近の悩みは、好みの時期のバンドの音源は、そろそろ中古市場からも消えつつあるということです。